住宅省エネルギー基準メモ

省エネルギー基準(省エネ基準)に関する私的メモです。 私的なメモですが省エネ基準に関する情報を共有できればと思い、ブログとして公開いたします。 情報の共有が目的なので、情報が間違っていたり、解釈が正しくない場合は、コメントなどでご指摘いただけると助かります。

タグ:平均日射熱取得率

省エネルギー基準(省エネ基準)は住宅の省エネ性能を判断するための基準です。

昭和54年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」が公布され、省エネ法に基づき昭和55年に「省エネルギー基準」(省エネ基準)が定められました。
その後省エネ基準は定期的に改正されています。

■全面改正
平成4年
平成11年
平成25年

■一部改正
平成13年
平成18年
平成21年
平成28年

大きな変更があったのは平成25年です。
従来は熱損失係数(Q値)、夏期日射取得係数(μ値)などで判断していたのを、外皮平均熱貫流率(UA値)、平均日射熱取得率(η値)、一次エネルギー消費量で判断するように変更になりました。
平成25年基準では外皮性能だけでなく、設備や創エネなども評価できるようなりました。
現在の基準値は平成28年基準です。

省エネ基準には外皮性能基準一次エネルギー消費量基準があります。
外皮性能基準には、外皮平均熱貫流率(UA値)、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)があり、一次エネルギー消費量基準には一次エネルギー消費量があります。
基準値は地域ごとに設けられています。

従来省エネ基準はあまり注目されてきませんでした。
せいぜい省エネ基準が条件の補助金のために計算される程度だったと思います。
その原因として多くの人が住宅の省エネ性能に無関心ということがあったかもしれません。
また、外皮平均熱貫流率などの計算に手間やコストがかかることもあったかもしれません。

しかし、これが2021年4月からは変わります。
省エネ性能の説明義務制度が始まるためです。
説明義務制度が始まると、基本的には住宅の省エネ基準の計算が必要になります。
そうしますと、省エネ基準にも注目が集まってくると思われます。

外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法
平均日射熱取得率(ηA値)の計算方法

最近になって省エネ性能の説明義務制度についての問い合わせが増えてきました。
2021年4月から説明義務制度が始まりますが、多くの方がこの対応に苦慮されているようです。

まず、説明義務制度とは何かということを説明いたします。
説明義務制度は2021年4月から始まる新しい制度です。
改正建築物省エネ法のリーフレットによると、説明義務制度は以下のように説明されています。

「建築士は、300m2未満の住宅を設計する際に、建築主に対して省エネ基準への適合性等について書面を交付して説明することが、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」で義務づけられます。」

つまり、建築士建築主省エネ基準適否を説明して、適合していない場合はどのような措置をしたら基準をクリアできるかを書面で説明することが求められます。
そうしますと、建築士は省エネ基準の計算をしなければならなくなります。
省エネ基準には、外皮基準の外皮平均熱貫流率(UA値)冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)と、一次エネルギー消費量の基準値があります。

省エネ基準の評価方法はいくつかの方法が用意されています。
・標準計算ルート
・簡易計算ルート
モデル住宅法
・仕様ルート

標準計算は計算が複雑で時間がかかりますが、その分精緻な計算になります。
標準計算以外の評価方法は簡易な計算で簡単に評価できますが、簡単な分安全側で評価されます。
そのため、基準をクリアしづらくなったり、実際の性能が正しく評価されなかったりすることがありますので注意が必要です。

外皮平均熱貫流率などを標準計算するためには、省エネ基準の専門知識が必要です。
計算方法の詳細については以下をご参照ください。

 今回は熱損失量の計算方法をご説明します。

 熱損失量は、その部位からどのくらいの熱が逃げるかを表した数値です。
 熱損失量の単位は、W/Kになります。

 熱損失量は、熱貫流率面積から求めます。
 ここまで各部位の熱貫流率の計算方法についてご説明しました。
 これらを使用して各部位の熱損失量を計算します。
 熱損失量の計算式を簡易的に表すと以下のようになります。

 [熱損失量] = [熱貫流率] × [温度差係数] × [面積]

 熱貫流率は部位によって求め方が異なります。今までの記事をご参照ください。
 温度差係数については、前回ご説明しています。


外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)

 前回は熱伝導率についてご説明しました。
 今回は、この熱伝導率を使用して、熱抵抗値(R値)を計算する方法をご説明します。

 熱抵抗値は、部位の熱の通りづらさを表す数値です。
 単位は(㎡K/W)になります。
 熱抵抗値は、大きいほど熱が通りづらいことを表します。
 同じ材料でもその厚さが変われば、熱の通りづらさは変わります。たとえば、同じ断熱材でも厚さが厚くなれば、その分断熱性能は高まります。
 熱抵抗値は、熱貫流率(U値)を計算するときに使用します。

 熱抵抗値は、熱伝導率と厚さから計算で求めます。
 式は簡易に書きますと以下のようになります。
 [熱抵抗値] = [厚さ] ÷ [熱伝導率]

 厚さの単位は(m)、熱伝導率の単位は(W/mK)、熱抵抗値の単位は(㎡K/W)です。

 たとえば、グラスウール断熱材16K(熱伝導率:0.045W/mK)が100mm(0.1m)のとき、熱抵抗値を計算する式は以下のようになります。
 0.1 ÷ 0.045 = 2.222(㎡K/W)

 この式を見るとわかりますが、厚さが大きいほど、熱伝導率が小さいほど、熱抵抗値は大きくなります。つまり、断熱性能を高めるためは、材料を厚くするか、または熱伝導率の小さい材料を使用すればよいことがわかります。

 なお、空気層の場合は、上記の式で計算するのではなく、状態により熱抵抗値が決まります。
 また、窓・ドアは熱抵抗値を計算しません。

 熱抵抗は材料だけでなく、材料の表面にもあります。これを表面熱伝達抵抗(表面熱抵抗)と言います。

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