住宅省エネルギー基準メモ

省エネルギー基準(省エネ基準)に関する私的メモです。 私的なメモですが省エネ基準に関する情報を共有できればと思い、ブログとして公開いたします。 情報の共有が目的なので、情報が間違っていたり、解釈が正しくない場合は、コメントなどでご指摘いただけると助かります。

2014年01月

よく聞かれる質問として、「外皮平均熱貫流率(UA値)を計算するのにどのくらいの時間がかかりますか?」 というのがあります。
これは個人差があり、人によってかかる時間がかなり違いますので、一概には言えません。
また、住宅の形状や、部位数、窓・ドアの数、熱橋などによる影響も大きく、同じ人が計算しても、住宅によってかかる時間は変わってきます。

私がいろいろな方に伺った感じでは、計算になれている方で2~3時間くらいという方が多いようです。
計算書を評価機関などに提出する場合は、計算書作りにも時間がかかります。
計算書まで含めますと、外皮平均熱貫流率の計算で、半日~一日くらいかかるかもしれません。

計算に時間がかかるのは、各部位の面積と熱貫流率の計算になります。
特に形状が複雑な住宅は、面積計算に時間がかかります。
また、屋根断熱の場合は、屋根や外壁の形状が複雑になることがありますので、時間がかかる場合があります。

熱貫流率の計算は、熱橋があるなしで、計算にかかる時間が変わってきます。
充填断熱時の柱などの木材熱橋RC造の熱橋S造の熱橋などの熱橋がある場合は、これを考慮する必要がありますので、その分時間がかかります。
なお、熱橋は工法によりおおよそ決まってきますので、一度計算すれば、同じ構造の部位はそれを利用することができます。

意外に時間がかかるのが、計算のための準備です。
計算するためには、住宅の平面図や立面図、各部位の材料構成、断熱材の位置、窓・ドアの熱貫流率(U値)と寸法、窓・ドアに関する部材(庇、風除室、雨戸など)などを確認できる資料を、事前に用意する必要があります。

なお、上記の計算時間は省エネルギー基準(省エネ基準)の勉強時間は含めていません。
これにはけっこうな時間がかかりますので、時間に余裕があるときにコツコツ勉強しておくことをお勧めします。

外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)

 前回まで、外皮平均熱貫流率(UA値)の計算についてご説明してきました。
 今回は、外皮平均熱貫流率計算の注意点についてご説明します。

 外皮平均熱貫流率の計算で時間がかかるのは、面積の計算、熱貫流率の計算になります。
 面積計算は、特に外壁の面積計算に時間がかかります。これは、外壁には窓やドアなどの開口部が設置されるため、これらの面積を引く必要があるためです。また、屋根断熱や勾配天井がある場合は、外壁の形状が複雑になりますので、この計算にも時間がかかります。

 熱貫流率計算は、部位によって計算方法が異なります。
 特に、充填断熱時の柱など、熱橋がある場合は計算が複雑になります。
 また、土間床や基礎断熱は、他の部位とは計算式が異なりますので注意してください。

 温度差係数は、隣接する空間によって異なります。
 特に共同住宅の場合は、地域や隣接空間によって、使用する数値が変わります。

 外皮平均熱貫流率の計算では、一部簡略計算法(簡略法)を適用できます。
 たとえば、充填断熱時の木材熱橋土間床・基礎断熱の熱貫流率計算では、簡略法で計算することができます。簡略法で計算しますと計算が簡単になりますが、簡単な分安全側に計算されます。

 この他、細かな点でいろいろ注意することがありますが、これらについてはここまでの記事でもご説明していますので、そちらもご参照ください。

外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)

 ここまで、外皮平均熱貫流率(UA値)を計算するために必要な外皮面積、熱貫流率、熱損失量などをご説明してきました。
 今回でようやく外皮平均熱貫流率の計算式をご説明できるところまで来ました。
 と言いましても、外皮平均熱貫流率の計算式自体は簡単です。

 [外皮平均熱貫流率] = [熱損失量計] ÷ [外皮面積計]

 熱損失量外皮面積については以前にご説明しましたので、そちらをご参照ください。
 これらを合計して、熱損失量を外皮面積で割ったものが、外皮平均熱貫流率になります。

 従来の熱損失係数(Q値)とは異なり、熱損失量計に換気による熱損失量は加味しません。また、熱損失係数は熱損失量計を床面積で除していましたが、外皮平均熱貫流率は外皮面積で除しますので注意してください。

 ここまで長きにわたり外皮平均熱貫流率の計算についてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
 次回は、外皮平均熱貫流率を計算する上で、注意すべき点をご説明します。

外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)
 

 今回は熱損失量の計算方法をご説明します。

 熱損失量は、その部位からどのくらいの熱が逃げるかを表した数値です。
 熱損失量の単位は、W/Kになります。

 熱損失量は、熱貫流率面積から求めます。
 ここまで各部位の熱貫流率の計算方法についてご説明しました。
 これらを使用して各部位の熱損失量を計算します。
 熱損失量の計算式を簡易的に表すと以下のようになります。

 [熱損失量] = [熱貫流率] × [温度差係数] × [面積]

 熱貫流率は部位によって求め方が異なります。今までの記事をご参照ください。
 温度差係数については、前回ご説明しています。


外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)

 温度差係数とは、各部位の温度差により熱貫流率を補正するときに使用する係数です。
 部位からの熱損失は、部位と隣接する空間の温度差によって変わります。
 たとえば、床裏空間は外気温よりも高くなります。そのため、床から逃げる熱損失は、外気に直接触れている張り出し床よりも少なくなります。このような場合を加味するために温度差係数を使用します。

 通常の隣接空間は、温度差係数が1です。
 1以外になる隣接空間は以下の場合です。

温度差係数が0.7の場合
・外気に通じない空間(昇降機室、共用機械室、倉庫等)
・外気に通じる床裏

温度差係数が0.05の場合
・1~3地域で、住戸、住戸と同様の熱的環境の空間(隣接住戸、空調された共用部など)
・1~3地域で、外気に通じない床裏(ビットなど)

温度差係数が0.15の場合
・4~8地域で、住戸、住戸と同様の熱的環境の空間(隣接住戸、空調された共用部など)
・4~8地域で、外気に通じない床裏(ビットなど)

温度差係数が0の場合
単位温度差当たりの外皮熱損失量(q値)を算出時で、以下の部位の場合
・住戸、住戸と同様の熱的環境の空間(隣接住戸、空調された共用部など)
・外気に通じない床裏(ビットなど)

外皮平均熱貫流率(UA値)計算時と異なり、一次エネルギー消費量計算に使用する単位温度差当たりの外皮熱損失量(q値)計算時は、隣接住戸などは温度差係数が0になりますので、注意が必要です。

 今回は温度差係数をご説明させていただきましたので、次回は熱損失量を計算する方法をご説明します。

外皮平均熱貫流率(UA値)の計算方法

平均日射熱取得率(ηAC値、ηAH値)の計算方法

省エネルギー基準(省エネ基準)

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